「派遣だけど正社員?」「無期雇用ってどういうこと?」
IT業界での転職を考える中で、こうした“正社員雇用型派遣”に出会った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、正社員雇用型派遣の仕組み、メリット・デメリット、SESとの違い、実例紹介までをわかりやすく解説します。
正社員雇用型派遣とは?仕組みをわかりやすく解説
雇用主と就業先の違いを理解しよう
「正社員雇用型派遣」とは、人材会社の正社員として雇用されながら、取引先企業に常駐して働く形態のことです。
つまり…
- 雇用契約:人材会社(派遣元)と結ぶ
- 業務指示・就業場所:クライアント企業(派遣先)
このモデルは「常用型派遣」や「無期雇用派遣」とも呼ばれ、正社員として安定した雇用を得ながら、複数の現場で経験を積むことが可能です。
登録型派遣との違い
区分 | 正社員雇用型派遣 | 登録型派遣 |
---|---|---|
雇用期間 | 無期雇用(正社員) | 有期契約(案件ごと) |
給与保証 | 常時支給(待機中もあり) | 案件に就いている期間のみ |
福利厚生 | 正社員待遇 | 派遣元によるが限定的 |
正社員派遣のメリットは“雇用の安定+柔軟な経験”
正社員としての給与保証・福利厚生
最大の魅力は雇用の安定性です。
たとえプロジェクトが終了しても、次の配属先が決まるまでの待機期間中も給与が支払われます。さらに、社会保険・厚生年金・有給休暇・交通費支給など、正社員と同等の福利厚生が受けられるのも大きな安心材料です。
多様なプロジェクト経験を積める
単一企業に長く属する正社員とは違い、さまざまな業界・技術・現場を経験できるのがこの働き方の醍醐味。たとえば…
- A社:大手SIerでネットワーク構築
- B社:医療系企業で社内SE
- C社:自治体向けヘルプデスク支援
といったように、1〜2年単位で“キャリアを動かす”ことが可能です。
異動や転職リスクの低減
「環境が合わなかったらどうしよう…」という不安も、正社員雇用型派遣なら軽減されます。
配属先の業務が終了しても、退職する必要はなく、次の現場を紹介してもらえるため、無理に辞める必要がありません。
デメリットや注意点も理解しよう
配属先は選べない場合がある
配属先については希望を出せるものの、必ずしも100%希望通りになるとは限らない点に注意が必要です。勤務地、業務内容、使用技術などにある程度の柔軟性が求められます。
「会社への帰属感」が薄く感じるケースも
正社員とはいえ、実際に働くのは派遣先企業の中です。そのため、「自社の文化に触れる機会が少ない」と感じる方もいます。
帰属意識を高めるには、定期的な面談や社内コミュニティの存在が大切です。
スキルアップには自己管理が必要
さまざまな現場で経験を積める反面、受け身の姿勢だとスキルが分散してしまうことも。
「自分はどんなキャリアを目指すのか」「次はどのスキルを伸ばすか」など、主体的な設計が求められます。
SES・派遣・受託との違いを整理
区分 | 雇用元 | 指揮命令 | 成果責任 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
正社員派遣 | 人材会社(正社員) | 派遣先企業 | なし | 雇用安定+柔軟性 |
SES | SES企業(正社員/契約) | 派遣先企業 | なし | 多案件で成長 |
受託開発 | 開発会社(正社員) | 自社管理 | あり(納品義務) | 長期的に深く携わる |
正社員派遣は、SESの自由さと正社員の安定性の中間に位置する新しい働き方と捉えると分かりやすいでしょう。
実際のIT正社員派遣案件の例と働き方
案件例
- 大手通信会社向けNW運用監視(夜勤あり/シフト制)
- 金融機関の社内SE(ユーザー対応+社内IT整備)
- SaaS企業のテクニカルサポート(問い合わせ対応+改善提案)
これらの案件は、スキルを磨きながら「働きながら考える」ことができる入り口として人気があります。
支援体制・研修制度の整備
多くの派遣元企業では、以下のような支援体制を設けています:
- OJT制度(入社後数週間の実地研修)
- キャリア面談(月1〜2回)
- スキルアップ研修(eラーニング、資格支援制度など)
【事例紹介】転職して正社員派遣になったエンジニアの声
元SES → 正社員派遣へ転職(20代男性)
「SESでは案件が短く、落ち着いて学べないと感じていました。正社員派遣に転職してからは、長期的な配属が中心で、資格取得にも集中できるようになりました。」
未経験 → IT正社員派遣に挑戦(30代女性)
「接客業からITに転職したくて、スクール後に正社員派遣に応募。配属前研修でPCスキルを習得し、現在はヘルプデスクとして活躍中です。」
どんな人に向いている?正社員雇用型派遣の適性
安定志向と成長意欲を両立したい方
- 「正社員として安心しながら、技術にも触れたい」
- 「いきなりフリーランスは怖いけど、成長したい」
そんな“堅実+チャレンジ型”の人にぴったりです。
自分に合った働き方を模索中の方
「何が向いているか分からない」「まずはいろんな現場を経験してみたい」という方にとって、キャリアの探索期間として最適な働き方です。
まとめ|“働き方のミックス”が当たり前の時代に
今の時代、働き方は「正社員かフリーランスか」だけではありません。
正社員雇用型派遣は、安定性と柔軟性のバランスを両立できる選択肢として、多くのエンジニアに注目されています。
- 正社員としての安心感
- 多様な現場経験
- 自己成長のチャンス
これらを同時に実現できる働き方として、今後ますます広がっていくでしょう。