〜自宅で働く「自由」の裏にある、気づかれにくい疲労〜
はじめに:通勤してないのに、なぜこんなに疲れるのか?
フルリモート勤務になってから、こう思ったことはありませんか?
- 「朝の電車がないからラクになるはずだったのに…」
- 「1日中家にいるのに、なぜかぐったりする」
- 「仕事が終わっても、スイッチが切れない」
これは決してあなただけではありません。
実は、リモートワークには“見えにくい疲労”がいくつも潜んでいるのです。
この記事では、出社よりも疲れると感じるリモートワークの「正体」と「対処法」を心理学・行動科学の観点も交えながら解説します。
1. 境界線の消失:仕事とプライベートの「混濁」
📍出社時代は、職場=オン/自宅=オフ だった
- オフィスに着けば仕事開始
- 帰宅すれば終了モード
- 同僚の「おつかれさま」一言が、区切りになっていた
しかし在宅勤務ではこの「物理的区切り」がなくなり、仕事の終了が曖昧になりがちです。
🔥疲労の原因:
- 仕事が終わったあともSlackやメールが気になる
- 寝る前にタスクを思い出してしまう
- 休日も“うっすら仕事モード”のまま過ごす
✅解決策:退勤“儀式”を持つ
- 仕事用のパソコンを閉じたあと、机を片付ける/照明を変える/音楽を流す
- 仮想でもいいので「お疲れ様会」など区切りイベントを作る
- カレンダーに“退勤タイム”をブロックする(強制終了)
2. 見えない“働きすぎ”:誰にも止められない勤勉さ
在宅勤務は、監視がない代わりに「自己責任」が求められます。
その結果、次のような行動が習慣化してしまうことがあります。
👀ありがちな例:
- 昼休憩を削ってしまう
- タスクが終わらず夜までダラダラ作業
- 「仕事中ですアピール」で常時Slackを開いてしまう
このように、“誰にも止められない働きすぎ”が日常化してしまうのです。
✅解決策:ポモドーロ+見える化
- 25分集中+5分休憩の「ポモドーロ・テクニック」を導入
- タスクごとに「今日のゴール」を設定
- “やったことリスト”を日報やNotionで可視化することで、働いた実感と満足感を得る
3. コミュニケーションの“質”が違う疲れを生む
🤔在宅での会話には「沈黙」がない
対面の会話では、表情や間合いで伝わることも、オンラインでは**「常に発言していないと伝わらない」**という圧力があります。
- 無音が怖い → 無理にしゃべる → 疲れる
- 表情が読みづらく、反応が不安 → 再確認の繰り返し
- 相手の機嫌がわからず、1文に悩む時間が増える
これは“情報処理負荷”が高く、対人エネルギーの消耗が出社時より大きい場合があります。
✅解決策:非同期コミュニケーションを活用
- 会議を減らし、Slack・Notionなどで非同期処理へ移行
- ステータス機能で「今、話せる/集中中」を表示
- 定期的な1on1や雑談タイムで“脱・タスク会話”を意識する
4. 体が動かない日々が心を重くする
出社していた頃は、「通勤」や「ランチ移動」だけで数千歩歩いていた方も多いでしょう。
リモートワークでは、1日1000歩以下になることも珍しくありません。
🧠脳科学的にも「座りすぎ=集中力低下・気分の落ち込み」につながる
- 体を動かすことで、集中力を高める「セロトニン」が分泌される
- 長時間座り続けると、脳のパフォーマンスが落ちる
✅解決策:1時間に1回“強制移動タイム”
- タイマーを使って「ストレッチタイム」を自動で挿入
- 会議は“立って”行うルールを取り入れる
- 午後一番の仕事は「体を動かしながらできるもの」から始める
5. “疲れの種類”が違う=リモート疲労は精神的
多くの人が「出社よりラクなはずなのに…」と混乱する理由は、リモート疲労は「肉体的疲労」ではなく「精神的疲労」が主だからです。
💡リモートワークの疲れの正体:
判断疲れ | 会議の予定、昼食、終業時間、すべてを自己判断 |
孤独疲れ | 雑談のない状態が続き、“誰にも見られていない”不安 |
緊張疲れ | 常に画面越しで“見られている”意識 |
この疲れは、“ゆっくり寝れば回復”するものではなく、構造的に解決が必要です。
回復法①:退勤→オフタイムの「線引き」をつくる
- デスクの照明を落とす
- 作業着から「オフの服」に着替える
- デバイスの通知をOFFにする or 物理的に別部屋へ
このような**“退勤のスイッチ”を明確に持つことが、心を守ります。**
回復法②:「1人時間」と「だれか時間」を計画に入れる
- 雑談のある会議 or バーチャル出社タイム(話さなくてもつながっているだけ)
- 気軽なチャット「今集中してる?」など、“弱い繋がり”を意図的に持つ
- SNSより“声”や“ビデオ”で話す時間の方が心が回復する
回復法③:「自分の仕事の価値」を自分で確認する
リモートワークは成果が見えにくい。
だからこそ、**「自分で仕事の意味を確認する仕組み」**を作ることが大切です。
- 毎日1行日報:「今日の達成感」を書く
- 誰かのありがとうをスクショして“称賛ファイル”に保存
- 「これは自分にしかできなかった」と思えた瞬間を記録する
まとめ:疲れたあなたは、がんばっている証拠
「リモートってラクなんでしょ?」
「自宅勤務なんて甘えてる」
そう言われることもあるかもしれません。
でも、リモートワークで疲れるのは、あなたが真面目に働いているからこそです。
- 仕事と生活の境目を消さずに守る
- 声なき努力に、自分で報酬を与える
- “オンとオフ”に、明確な切れ目を作る
それが、長く健康的にリモートワークを続けるための鍵になります。