はじめに:辞めることを決めたら、最初にやるべきは「準備」
「退職する」と決めた瞬間、多くの人はすでに次の仕事や自由な時間への期待に胸をふくらませています。ですがその一方で、退職後に“困った”というトラブルも少なくありません。
- 次の仕事が決まらず焦る
- 退職後の書類が足りず、手続きでトラブル
- 引き継ぎが不十分で悪印象を残してしまった
こういった事態を防ぎ、円満に退職し、スムーズに次のキャリアへ移行するために必要なのが「事前準備」です。
この記事では、転職支援の現場で多くの退職希望者をサポートしてきた立場から、退職前に必ずやっておくべき5つの準備をお伝えします。
1. 転職の方向性を整理しておく(情報収集と自己分析)
退職してから転職活動を始めると、時間的余裕がある一方で、「生活費」や「孤独感」から焦りが生まれやすくなります。
退職前に、以下のポイントを整理しておくことで、迷いや不安を最小限に抑えることができます。
✅やるべきこと:
- なぜ退職したいのか、何を変えたいのかを明文化する
- 自分の強みやキャリアを棚卸しする
- 転職市場や求人をリサーチする(転職サイト/エージェント/SNSなど)
🗂おすすめの整理方法:
- NotionやGoogleドキュメントで「転職ノート」を作る
- 退職理由と次のキャリア軸をセットで書き出す
💡 転職エージェントに事前登録しておくことで、退職前に客観的なアドバイスが得られるのも有効です。
2.必要書類と社内データの整理
退職後は、いくつもの「公的手続き」や「転職準備」が必要になります。
その際に困るのが、必要な書類やデータが手元にない問題です。
✅退職前に確保すべき書類一覧:
- 源泉徴収票(年末調整や確定申告に必要)
- 雇用契約書/就業規則のコピー
- 給与明細(過去3〜6ヶ月分)
- 健康保険証(退職時に返却だが番号控えは残す)
- 在職証明書/職務経歴証明書(可能なら依頼)
✅社内データで確認・保存すべきもの:
- 社内メールや成果物など、自分の業績がわかるもの
- 提案資料や実績データ(機密保持に注意して私物化は避ける)
⚠️ 注意:業務ファイルを個人PCにコピーするのは情報漏洩リスク。印刷や外部保存はルールを確認のうえで行うこと。
3. 引き継ぎ資料と退職スケジュールの作成
円満退職において最も重要なのは、引き継ぎがしっかり行われているかどうかです。
自分が抜けた後も仕事がスムーズに回るように、**誰が読んでもわかる「引き継ぎ資料」**を用意しましょう。
✅引き継ぎ資料に入れるべき内容:
- 担当業務のリストと進行状況
- 定期業務のフローや注意点
- 取引先・社内関係者の連絡先と対応履歴
- システムやツールの使い方(パスワード等は管理ルールに従う)
✅退職までのスケジュールも明確に:
- 退職希望日 → 上司への相談日 → 退職届提出 → 最終出社日
- 有給消化や最終勤務日の設定も含めて逆算
🎯 社内で「最後までしっかりしていた」と思われることで、退職後の信頼にもつながります。
4.上司・関係者への退職報告と伝え方
退職を決めたからといって、いきなり全員に話してしまうのはNGです。
まずは直属の上司に相談し、段階的に社内へ共有するのが鉄則です。
✅報告の順序:
- 直属の上司へ「相談」という形で伝える
- 部門責任者や人事と相談
- チームメンバーや関係部署へ段階的に報告
✅伝えるときのポイント:
- ネガティブな理由は避ける(待遇不満・不信感など)
- 「成長のため」「新しいチャレンジのため」など前向きな表現にする
- 「お世話になったことへの感謝」も忘れずに
🗣 例文:
「今後はより○○領域に専門性を高めたいと考え、キャリアチェンジを決断しました。まずはご相談の時間をいただけますでしょうか。」
5. 退職後の生活資金と手続きの見通しを立てる
退職後の「無収入期間」は、不安と焦りの大きな要因になります。
事前に経済的・手続き面の準備を整えておくことが、心の余裕を生み出します。
✅資金計画:
- 生活費3〜6ヶ月分の貯金が理想
- 想定より転職が長引くケースを想定しておく
- 退職金・失業手当・保険料の支払いスケジュールを確認
✅必要な手続きリスト:
- 健康保険の切替(任意継続 or 国民健康保険)
- 年金の切替(厚生年金 → 国民年金)
- 住民税の納付(前職給与からの後払い)
- ハローワークでの失業保険申請(離職票が必要)
📝 Excelやスプレッドシートで「手続きToDoリスト」を作っておくとスムーズです。
まとめ:退職の「準備力」が、次のキャリアを左右する
退職とは、キャリアの「終わり」ではなく「始まりの準備」です。
感情のままに辞めてしまうと、手続き・人間関係・お金など、思わぬトラブルに直面することも。
逆に、しっかりとした準備をすれば、次のステージに自信を持って進むことができます。